受検者状況
受検生総数(出願者ー当日欠席者) | 実倍率(受検生総数/定員) | ||
相模原中等 | 男女 | 816名 | 5.10倍 |
平塚中等 | 男女 | 608名 | 3.80倍 |
適性検査分析
標準レベルあくまで難易度は、大人目線ではなく、小学校6年生が試検会場でとれるかどうかを客観的に考察したものです。
適性検査Ⅰは昨年同様、大問が5問構成であったが、解答しなければならない小問の数は、適性Ⅰ・Ⅱともに小問13問ずつ(記述1問含む)で、昨年と同じであった。
適性Ⅰの大問別構成を見てみると、文系が2問・推理系2問、理系が1問だった。
適性検査Ⅱは大問4問構成で、問1は例年通りの文系分野の記述問題、問2は文系、問3は推理系、問4は理系分野に関する問題であった。
今年の県立中等適性検査は、問題を俯瞰したときに、難しく見える問題が少ないのではないかという印象を持った。過去の県立中等の適性検査のように、複雑に見える独自のルールを用いたゲームやプログラミングの問題、立体図形を用いた問題はさほど見受けられず、受検生はどの大問に対して、なんとか手が出てそうだと思っていたに違いない。
しかし、蓋を開けてみると、やたら計算をさせたり、ミスリードさせたりするような問題もあったりした。45分という限られた時間の中で、どこで得点を積んでいくのかという取捨選択能力や、正確に情報を読み取り、そこから計算する力、そして条件を整理し、情報の立体化ができる力が試されていた問題だった。
また昨年同様、マークシートならではの罠があった。計算ミスや、条件の読み落しといった、受検生が間違えるポイントを予め出題者側がシミュレーションして選択肢を作っていた。受検生からすると、たとえ解答を出すプロセスの途中で間違えていたとしても、その間違った答えが選択肢にしっかりと用意されているので、自分が間違えたことに気づくことなく、間違った選択肢をマークした人もいたはずだ。
適性Ⅰ・Ⅱ全体を通して、適性検査そのものの難易度は昨年より下がった。昨年に比べて、取りたい問題・取らなければいけない問題が増え、問題を取捨選択すれば、ある程度の得点が狙えたはずだ。しかし、問題を取捨選択できたとしても、やはり得点の伸びには限界がある。
おそらく今年の問題は、しっかりと県立中等の受検対策をしてきた受検生でも、ある程度の得点でストップし、そこから伸び悩んだ人が多いような気がする。
つまり、この『ある程度の得点』が受検生全体のボリュームゾーンとなり、そこから1問でも多く点数を取った受検生に軍配が上がるのではないかと、Proceedでは予想している。
今年も例年同様、小問ごとに『易・やや易・標準・やや難・難』の5ランクに難易度分けをしたが、試験時間内に情報処理ができるかどうか、全ての計算系の問題をミスなくやりすごせるのかどうかといった状況を加味すると、設問の難易度がそのまま合格点に比例するわけではない。
今年の受検生、これから受検を考えているお子様の一助になればと思い、Proceedでは今回も予想ボーダーを算出した。算出するにあたって、Proceed職員間で時間を計って問題を解いたうえ、打ち合わせを重ね、さらに過去の適性検査の難易度とその当時の追跡調査の結果を考慮した。
これまでもProceedでは予想ボーダーを算出してきた。合格発表後の調査と照らし合わせると、実際の合格ボーダーはProceedの予想ボーダーとほぼ一致しているようだ。
もちろん今年度のProceedの予想ボーダーも参考資料として使っていただきたいが、あくまで『予想』であり、大きく前後する可能性も十分にあることをご承知の上、良識の範囲内でご覧いただきたい。
(文責:塾長 高柳)
設問別難易
適性Ⅰ やや易[問1]文系 (40点)
(1)やや易 20点
(2)やや易 20点
(1)
昨年同様、資料と整合させるだけで、計算を必要としない正誤判定問題だった。特段紛らわしい表現はなかったので、選択肢の表現と資料の表現照らし合わせれば、短時間で解けたはずである。この問題は必ず取っておきたい1問であった。二ヶ領用水久地円筒分水といった背景知識を知らなくても全く問題は無い。例年通りの資料の分量で、正誤判定に使う箇所のターゲットを絞って、資料の内容を軽くスキャンするだけで、容易に正誤判定をができたし、時間の節約にもつながる。
(2)
単純な比を使った計算問題である。〔調べたこと(構造)〕に書いてある通りに1.6m:7.2m=104L:XLと立式すれば、1分あたりに根方掘に流出する水の量が出るので、それを1時間にするために60倍すれば、難なく短時間で28860Lと出せる。
[問2]理系(70点)
(1)ア: 易 10点 イ:やや易 20点
(1)ア: やや易 20点 イ:やや易 20点
(1)
設問アは単純な割合の計算である。設問イは設問アと同様に単純な割合の計算であるが、設問アよりも計算量は増えているおり、[ラベル]にはナトリウムの成分表示をされていないので、自分で計算する必要がある。また、ナトリウム、カリウム、カルシウムにおいて全て割合計算を行うと全ての答えの選択肢に用意されているので、答えを選ぶ際には設問の条件をよく確認して選ぶこと。受検対策をしていた子であれば十分に計算できる程度の計算量であるので確実で点数をとりたい設問である。
(2)
設問アは[調べたこと2]にある暑さ指数の計算式に、それぞれ設問で与えられた数値を入れて計算すれば求めることができる。設問イも、暑さ指数の計算式を使って[資料]に与えられた計算を行うだけである。計算量に関しても計算回数こそ多いかもしれないが、そのことを考慮して暑さ指数の計算も行いやすい数にしてあるので、作問者の受検生への配慮が感じられた、とてもいい問題であった。
[問3]推理系 (70点)
(1)ア:標準 20点 イ:標準 20点
(2)ア:やや難 30点
(1)
設問ア、イともに与えられた資料から問題の設定や条件が正しく読み取り、条件をまとめることができれば用意に解くことが可能だ。ただ、条件が[会話文]、[問題]、[条件]、[設定 1]、[設定 2」に散りばめられており、そこから解答に必要な情報を集約してこないといけない。制限時間が限られている適性検査において、『4時間連続して運転した後は、1時間休憩をしないといけない』という条件を慌てて読み落としてしまい、答えが1時間ずれてしまった受検生もいたのではないかと推測できる。きちんと図に描いて問題を解けばよいのだが、頭の中でやろうとして混乱してしまった受検生もいたはずだ。問題用紙の限られた余白をしっかりと使えるかどうかがカギとなる1問であった。
(2)
(1)に比べ、より条件が複雑になっており、トラックA、トラックBが往復することと、トラックA、トラックBが荷物を運ぶときの荷物待ちの時間まで考慮して時間計算を行わないといけない。仮に、待ち時間を考慮せずに計算しても選択肢の答えになってしまうので、受検生は条件の読み落しに気づきにくい。この問題は設定が複雑なため、一度沼にはまると抜け出せなくなる可能性があるため、手を出せない人は早々と切り上げて他に移るべきである。
[問4]推理系 (80点)
(1)ア:やや易 20点 イ:やや難 30点
(2)やや難 30点
(1)
[ルール]にあるそれぞれの動物エリアでは観察カードを書く時間は15分という条件のもと、午前中に使うことができる時間から、おおよいくつの動物エリアを回ることができるかを推測し、そこに移動時間が条件に合うかどうかを考えていけばよいだけなので、短時間で確実にとりたい問題である。
(2)
設問アは、『3つ全ての体験をした後に、クマの観察カードだけを書いて正門広場にもどる』と、条件が明確なために経路の見当はつけやすい。しかし、経路の見当がついたとしても、そこから一つひとつ時間を考えていかなければならず、十分に時間があれば解くことはできるが、適性検査を大問1から順に解いていったとすると、この問題に取り掛かったときに、残り時間は少なくなっているはずだ。その残り時間で、この問題を丁寧に解いている時間はなく、この問題は捨てた受検生もいたのではないかと考えられる。設問イに関しても設問アと同様で、順に丁寧に試していかないといけないので、時間が足りずに解ききれなかった受検生がいたのではないかと推測される。
[問5]文系 (40点)
標準
県立中等の過去問対策をやっていた生徒なら抵抗なく記述ができたのではないだろうか。卒業を控えた6年生が『誰のため』に『どのような活動』でお世話になった人に恩返しできるかというテーマで、記述の自由度も非常に高いため、書きやすいものであった。この問題は昨年同様、適性Ⅰの最終問題にあるが、この問題を試検が始まってから最初に短時間で片づけるべきである。
適性Ⅱ 標準
[問1]文系 (70点)
(1)易 30点
(2)やや易 40点
(1)
文章資料の正誤判定問題。文章も比較的読みやすく、選択肢との対応箇所もすぐに見つかるため、確実に正解できる問題だった。つまり、この問題では差はつかないであろう。
(2)
記述問題だが、どちらかというと、国語の書き抜き問題に近い。該当箇所は比較的すぐに検討がつくので、記述に必要な要素を見つけて、確実に満点を狙いたい。
[問2]文系 (80点)
(1)ア:標準 20点 イ:標準 20点
(2)ア:やや易 20点 イ:やや難 20点
(1)
設問アは1966年度に1年生~5年生だった人工林は、2021年度には56年生~60年生であることを読み取れれば、数値を引き算をすればよいだけだが、グラフのどの部分を見ればよいか困惑した受検生もいるではないかと思われる。ただ、丁寧に読み込めばグラフのどの部分が解答に必要か分かるので確実におさえておきたい設問である。設問イはグラフの見方が分かり、正しい項目からデータを引っ張ってくることができれば、あとは人工林の面積を足してから割合計算をすればよい。これら2問は『標準』レベルに設定してはいるものの、確実に取っておきたい設問であることは間違いない。
(2)
設問アは50haあたりの木の本数を求めてから、条件にしたがって割合計算をすればよい。計算過程も多くないことから、時間をかけずに確実に正解しておきたい1問である。それに比べ、設問イは条件も多く、年数も場合分けをして計算をしないと答えが出なく、どのように計算をしていけばいいのかも分かりづらい。よって、この設問は問題を見て、すぐに方針が浮かべば取りかかればよいが、方針が浮かばない場合は後回しにして時間を確保するのもひとつの戦略である。
[問3]推理系 (70点)
(1)ア:易 20点 イ:やや難 20点
(2)ア:やや難 30点
(1)
設問アは[会話文1]にあたえられているツナ缶とベーコンの情報を使って比率の計算をすればよいだけなので、易しい設問であった。設問イは[会話文1]、[メモ]の情報から、ベーコンの値段を求め、じゃがいも、たまねぎ、にんじんの合計金額から一つ一つの野菜の値段を消去算を使って計算すればよい。計算量こそ多少あるかもしれないが、受検生にとって慣れ親しんだ消去算の問題なので、手を動かして計算を行えば十分に答えまでたどり着くことができた設問であったが、試験という限られた時間内で処理することを鑑みて『やや難』とした。
(2)
[会話文2]で与えられている情報が少なく、どこから絞り込んでいけばよいのか戸惑った受検生も少なからずいたはずだ。少ない条件から考えて絞り込んでいかないと、パターンが多すぎて処理しきれなくなってしまう。そして、仮に正しいやり方で条件を絞り込んだとしても、そこから[表]を用いて条件にあわせて票数を考えていかなければならなく、2段階で推理をしなけれないけないため答えまでたどり着けた受検生は少なかったのではないだろうか。
[問4]理系 (80点)
(1)ア:やや易 20点 イ:やや難 20点
(2)ア:易 20点 イ:難 20点
(1)設問アは単純なサイコロの展開図の問題であり、組み立てられたサイコロのそれぞれの頂点に座標を書き、展開図にもそれに対応した点に座標を記入すれば確実に取ることができる問題である。受検対策をしている子であれば1度は目にしたことがある定番問題なので、この設問は確実に得点を取りたい。設問イは[図3]に与えられたマス目でどのようなサイコロの展開図ができるかを考え、そこからどこに矢印がくるかを考え、さらに黒い矢印の向きまで考えないといけない。さらに、黒い矢印を考えるときも[図2]と[図3]の白い矢印を逆にされており、多くの罠が潜んでいる問題で、選択肢も様々なパターンが用意されているので、勘で当たる可能性も低く、多くの受検生が間違えたはずだ。よってこの問題の正答率が低いと想定されるため、差をつけにくい1問であったと考えられる。
(2)
設問アは1方向から見たときの面の目の数の和を求める問題で、[図4]と[例]の条件から短時間かつ少ない作業工程で求めることができるため、確実に取っておきたい設問である。それに比べ、設問イは立方体の進み方は多数存在し、その中から条件に合うものが何通りあるかをもとめる問題であった。解き進めても条件に当てはまるパターンを全て列挙できているかどうかは判定しづらいし、取りこぼしが発生しやすい問題のため、時間をかけても確実にとれる保障はない。この設問に時間を割くのはあまり得策とは言えない。
予想ボーダー(記述抜きの520点満点)
相模原中等 320点~350点平塚中等 260点~290点
先に記述した通り、昨年より確実に取らなければならない問題が増えているため、ボーダーは昨年度より上がることが見込まれる。記述を除いた『易』と『やや易』、さらには『標準』問題も全て比較的解きやすいことから、相模原中等はそれら全てを正解した320点~『やや難』・『難』から1問正解した350点の間、平塚中等は倍率低下を加味して、320点中の8割~9割である260点~290点を取ることで安全圏になるのではないかと予想した。
今年度も記述は比較的書きやすいものだったので、失点をせず、満点を狙いたいが、おおよそ80点中60点あたりが期待値であろう。よって、記述を含めたボーダーは、相模原中等で380点~410点、平塚中等で320点~350点あたりに収束するのではないかと予想する。